かわらばん67号(2005年12月議会報告)

年末から年始にかけて、耐震偽装、ライブドアなど、お金万能の世相を象徴するような事件が次々に明るみに出ました。一方で、年間3万人もの尊いいのちが自殺によって失われています。構造改革で、地方はますます過疎化し切り捨てられようとしています。今年の国会には、世界に誇る、戦争放棄を定めた日本国憲法を改悪するための国民投票法案が上程予定です。

 

人への思いやり、助け合い、平和、豊かな自然、ゆったりとした生活??。本当に大事なものが大切にされる社会をめざして、今年もみなさんとともにがんばります。

 馬券の次は舟券!?
米子をギャンブルのまちにしてはならない

今年1月18日の市議会総務文教委員会で、崎津団地に場外舟券売り場計画があることが明らかになりました。場外馬券売り場「ウィンズ米子」の隣約5?に競艇の場外舟券売り場、物産販売所、レストラン、宿泊施設等を建設し、総合アミューズメント施設として開発するというものです。事業の提案者は同事業を目的に昨年7月に設立登記された「デライト米子」(東京都新宿区)で、昨年12月に社長が来て土地買収の申し入れがあったということです。市は今後の対応方針として、「より詳細な事業計画の提出を求め、事業内容等について調査検討を行い、提案事業に対する市の方針を決定して行きたい」と言っています。

工業団地として造成した崎津団地は、長年の売れ残りで現在の債務総額は約34億円もあります。5?の土地代は約8億円と想定されるので、市議会では場外馬券売り場の時のように債務解消のために売却しろと言う意見が多く出そうです。しかし、場外馬券売り場設置により、競馬にのめり込んで悲惨な状況になった家族の話も聞きます。最近、若い人がインターネットによる株売買で一かく千金をねらうなど地道に働くことを軽視するような風潮が強まっていますが、馬券売り場に加えて舟券売り場ができれば米子は「ばくちの町」になってしまい、子どもや若者のこころにどのような影響を及ぼすか、深刻に考える必要があります。 

また、場外馬券売り場の売り上げは年間約150億円ですが、その内一割が国にもって行かれ、地元で循環するお金が少なくなって地元経済に悪影響を及ぼしています。場外舟券売り場ができれば、地元のお金の流出がさらにすすみ、いっそう地域経済が疲弊します。場外舟券売り場計画などとんでもない話です。

 

指定管理者選定と外郭団体職員の処遇について

ずさんな指定管理者の選定―市民サービス低下の懸念

今議会に、美術館、ふれあいの里など46施設について指定管理者を指定する条例が提出されました。指定管理者制度は公共施設の管理業務を民間にも解放する制度です。市長は、民間のノウハウを導入して市民サービスの向上をはかることが第一の目的であるとしてほとんどの施設に指定管理者制度を導入しましたが、私の質問によって、?応募者の仕事の質が選定基準になく、市民サービスが低下するおそれが強い、?候補者の事業計画書が妥当かどうか厳密にチェックされていない、などの問題点が明らかになりました。 

 各委員会でも、委員から杜撰な選定に対して多くの異論が出されました。最終日に私は、「このままでは管理が不十分な施設が生じる危険性があり、結果として市民サービスが低下する。選定基準を見直したうえで、あらためて選定をやり直すべきである」と、反対討論を行いました。本会議での採決で、都市公園や駅前地下駐車場などの指定管理者を指定する議案は僅差でかろうじて可決されるという状況でした。

 各施設の指定管理期間はほとんどが5年間です。今後も市民サービスが低下しないかしっかりチェックし、問題点が生じれば指定管理者制度そのものの再検討を含めて対応していきたいと思います。

 

外郭団体職員の処遇は市の責任で解決を

米子市は公共施設の管理を市が設立した外郭団体(財団法人)に行わせてきましたが、指定管理者制度で、合計45人の外郭団体職員が仕事を失うことになります。そこで、再就職できない職員は、外郭団体に再就職している市OB職員に辞めてもらって替わりに勤めさせること、民間の指定管理団体に継続雇用を希望する職員の雇用条件について斡旋すること、などを求めました。

  市長は、就職先の斡旋については、「出資者の立場である市として雇用に一定の責任があるので、再雇用の斡旋、外郭団体内部での雇用調整など最大限の努力をし、対策を講じたい」と答弁しました。

 

広域ごみ処理施設建設計画の見直しを

 2001年、ダイオキシン類対策およびごみ処理の効率化を目的に、西部広域行政管理組合で大型焼却炉を建設し米子市以外の全市町村のごみを焼却する計画が作られました。

  しかし、当時の計画はごみ量の将来予測が伸び続ける前提で作られたものです。国は2010年度までに2000年度比でごみを20%削減する計画ですが、西部広域構成市町村が国の目標値まで減量すれば、米子市クリーンセンターで西部広域全体のごみを処理することも可能です。50億円(米子市負担10億円)と予想される施設を新たに建設する必要はありません。

  また、他の市町村のごみを米子市クリーンセンターに受け入れると、クリーンセンターの維持管理費と建設費償還金に対するごみ量に応じた負担金として、年間約3億8千万円を他の市町村から徴収することもできます。過大な施設の償還金に困っている米子市としてもメリットがあります。

  ごみは燃やさない・埋めないが原則であり、大型焼却炉建設は原則に逆行するものです。ごみ減量を進め、建設計画を見直すように求めました。 

今年になってから、市長は、広域ごみ処理施設建設の凍結と米子市クリーンセンターへの他市町村のごみ受け入れ案を発表しました。今後、西部広域行政管理組合議会での議論、米子市クリーンセンターがある地元自治会などとの協議が行われます。

 

 島根原発安全協定とプルサーマルについて

 昨年11月2日、米子市は中国電力に対して原発安全協定の締結を申し入れましたが、中国電力はこれを拒否しました。中国電力の回答についての見解、および、今後の対応方針について市長に尋ねました。

  「市民の安全性の確保、不安軽減、防災体制の確立のために、原子力施設の増設、変更などに際し、事前協議や異常時における通報義務などを定めた安全協定を締結するよう今後もねばり強く求めていく」との答弁でした。

 また、島根原発で進められようとしているプルサーマル計画について、米子市としても安全性に関する情報を収集し、場合によっては、市民の安全を守るために安全協定がなくても対応するよう求めました。

  「島根県や松江市と協議されている動向を見据えながら、安全性に関する情報を収集し、市民の安全確保に必要なことがあれば、その都度対処したい」との答弁でした。
 

大規模商業施設を誘致するための区画整理推進陳情に反対しました

「米子市上福原・車尾地区における土地区画整理事業の推進および核商業施設の出店許可について」という陳情が最終日に採決されました。現在市街化調整区域になっている当地区で区画整理を行い、そこに大規模商業施設を誘致するという内容ですが、私は次の理由から反対しました。 

一点目は、地域経済にマイナスであるということです。最近、米子の商業圏に県外資本の大型店やコンビニの出店が相次いでいますが、その影響で地元の小売業は少なからず潰れ、卸売業も大打撃を受けています。市民が使ったお金はほとんど県外に持って行かれ、お金が地域で環流しないので地域経済は疲弊するばかりです。 

二点目は、まちづくりへの影響です。現在、計画地の中に都市計画道路車尾上福原線を建設中ですが、想定交通量は、平成32年で一日あたり4千4百台です。スーパージャスコは平日でも5〜6千台、休日は1万5千台、年末等は2万台の来車があるとのことです。計画されている核施設の売り場面積はジャスコの2倍強もあり、核施設の来場車だけで想定交通量をはるかに超え、慢性的な大渋滞が予想されます。

 また、米子市は現在中心市街地が非常に衰退していますが、郊外型大型店ができれば高島屋、やよいなどが撤退し、さらに寂れるおそれがあります。国もいま高齢化社会に向けて中心市街地の再生を第一の課題に挙げています。将来にわたる米子市全体のまちづくりの視点からは、これ以上市街地を拡大することに慎重でなければなりません。

  採決の結果、25対19で陳情は採択されました。しかし、市長は「都市計画に与える影響が大きく、事業は認可できない」という姿勢を明確にしています。まちづくりの視点から市長の判断を全面的に支持します。市街地に近い当地域の農業基盤を整備し、一部を市民農園として貸し出し、地産地消のための農産物生産拠点にするのが一番良いと思うのですが、みなさんはどう思われるでしょうか。

 

6月25日の市議会議員選挙
定数2名削減(30人)で実施

 新米子市議会議員選挙は現在の在任特例期間が終わる今年6月25日(18日告示)に実施されます。新米子市議会の定数は合併協議会で32名と決まりましたが、「在任特例期間中に、合併の意義及び合併協議会での意見を尊重し、新市の議会において公聴会等を開催の上、さらに検討し、結論を出すものとする」という付帯意見付きでした。新市発足後の議会で特別委員会を設置して審議してきましたが、12月議会で、多数決により定数は30名と決まりました。

  議員の中には、「定数削減より報酬削減を」「旧淀江町にとっては多い方がいい」など削減反対論もかなりありましたが、合併協での議論もあるので仕方ないという意見が多く、結局は2名削減になりました。

 

森山堤防60メートル開削決定!
環境修復をさらにすすめ、豊かな海を取り戻そう

 中止になった干拓淡水化事業の後始末を話し合う「中海に関する協議会」が昨年11月17日に開催され、農水省が森山堤防を60?開削することを表明し、事業開始から42年目にして中海は環境修復への一歩を踏み出すことになりました。25年に及ぶ干拓淡水化反対運動は全国で初めて大規模国営事業をストップさせただけでなく、これまで後始末のしくみがないと言われてきた公共事業の中止後の扱いについて、ひとつの方向を示させました。全国に誇ってもよい成果です。

 農水省は08年度までに森山堤防の60?開削と架橋工事を行い、中海から完全に撤退する予定です。その後、中海の取り扱いについては河川管理者(中海は斐伊川の一部)である国土交通省が対応することになります。国土交通省は現在、大橋川拡幅工事についての環境アセスをやろうとしていますが、堤防建設と水位上昇の因果関係の解明を求め、治水対策として大海崎堤防の開削を要求する住民運動の盛り上がりが必要です。

 また、「大海崎堤防も開削すべき」という地元住民・自治体に対して、鳥取県知事は「森山堤防開削後も両県で水質監視を行い、必要なら対策をとる」と答えていますので、県に対しても引き続き働きかけが必要です。

  その他に浅場の造成、干拓事業で生じた浚渫窪地の埋め戻しなどの対策を求めるとともに、住民としても、合成洗剤追放などで中海を汚さない生活が問われています。豊かな中海を取り戻すためにさらにがんばりましょう。  

 

「市民と議員の意見交換会」始めました

今、地域自立に向けて、市民と行政との協働による市政運営が求められています。議会も市民の代表機関して真に機能するために、市民の意見をできるだけ汲み上げ、市民活動と連携を強める努力が必要です。

 そのような趣旨で、このたび議員有志で、市民と議員の意見交換会という企画を立ち上げました。第1回として、介護保険法改正で新しく設置される地域包括支援センターについての意見交換会を、12月26日に6名の議員と約40人の市民の方々とで行いました。

 自分たちの活動を議員に知って欲しい、こういう問題を議員と意見交換したいと思っておられる方は、ぜひ、ご利用下さい。以下の要綱で随時受け付けます。

 

1,「市民と議員の意見交換会」の運営方針

(1) 地域で活動する市民団体・グループ(個人を除く)と議員との、意見交換の場です。
(2) 情報を受ける場ではなく、米子の課題について意見交換、相互学習する場です。
(3) 意見交換会は全議員に案内します。

 

2,申し込み方法

(1) 米子市議会内 「市民と議員の意見交換会 」世話人(中川に連絡下されば取り次ぎます)。
(2) 連絡をいただいた後、世話人から申込書を郵便またはFAXにて送らせていただきます。
(3) 申込書に必要事項をご記入の上、世話人まで返送下さい(郵送またはFAX)。
(4) 申込書をいただいた後、世話人が日程、場所の調整を行わせていただきます。
(5) 申し込みが同時期に重なったり、世話人会で内容的にふさわしくないと判断した場合にはお断りすることがあります。